まず、運動器官についての説明をします。

運動器官とは?

運動器官とは、
人が動くことに関わる器官の総称です。

主に筋肉や骨と
筋肉の働きを管理する神経組織
のことを合わせて運動器官と呼びます。

運動器官の働きに関係する痛み

関節痛や神経痛、筋肉の痛みは、
運動器官の働き(運動機能)に関わる痛みです。

運動器官の中でも神経組織が
痛みという感覚を創る役割を担います。

運動器官に関係する痛みと脳の働き

脳という器官は、
神経組織の中でも
神経細胞体が集まった場所です。

痛みという感覚は脳で創られています。

脳は、痛みという感覚を創り出す
基準を設けています。

その絶対的な根本的基準は、
“身体の保護”です。

身体に危険が及びそうな時に
“痛い”という不快感を出しています。

痛みという感覚は、
脳の中でも無意識の領域で創られます。

無意識領域で創り出された
痛みが意識されることで、
身体に迫る危機や
現状の身体環境の異常を
本人に認識させています。

ここで、混乱を避けるために
注釈を加えておきます。

人の感覚は、
意識化される前の段階として、
無意識の内に脳の中で
身体に起きている状態が
情報処理されて創り出されています。

無意識の情報処理結果が
意識に関わる領域に伝えられた時、
本人に感じ取れる感覚になります。

痛みという感覚も例外ではありません。

ただ、痛みは、通常の感覚とは異なり、
普段は痛みにならないはずの条件
(刺激・感覚信号・身体状態)が
突然、痛みという感覚に
創り変えられることが多々あります。

その痛みへと変化しやすい代表的な感覚が
力の感覚“です。

ここからが再び本題です。

運動器官関連の痛みと
運動力学的条件の影響

運動器官に関連した痛みを抱えると、
多くの人が運動能力を上げようと考え
何らかのトレーニングや
健康体操を取り入れようとします。

ですが、
慢性化した痛みの基になっている
感覚情報(身体条件)の種類は、
殆どの場合が、患部に加わる力です。

そして、
痛みが創られている理由は、
先ほども申し上げましたが、
患部に加わる力が身体にとって危険だと
無意識領域の脳が判断しているからです。

つまり、
トレーニングや健康体操を行って
運動能力を上げようとすることは、
その時に加わる患部への力、
即ち、痛みの情報源を含むことになります。

そのため、
運動器官に関連する痛みを改善させる手段
としては、的外れになる可能性があるのです。

[患部に加わる力の情報
痛みという感覚に置き換えられてしまう]

このことこそが
運動器官に関連する痛み
(動きに伴う痛み)を感じる最大の原因です。

このような
力情報に対する脳内での感覚化の異常
続いている状況においては、
トレーニングや健康体操という
身体に日常以上の力が加わる行為そのものが
脳(無意識領域)に危険だと判断されかねません。

そうなれば、
運動することで痛みが返って強くなるか、
もしくは、取れにくくなってしまいます。

筋過緊張と痛みとの関係

痛みを抱える人が、
その痛みの解消を目的として
トレーニングを行う場合、
気をつけなければいけないことがあります。

痛みを解消する目的で、
適度な運動が行われる場合、
その運動強度が弱く、
運動量もあまり多く無ければ、
運動中には痛みを感じないこともあります。

ところが、
運動中に痛みが創られなかったとしても、
筋肉の緊張だけは高くなることあります。

その筋肉の緊張の高まりは、
運動を終了した後でも残る傾向があります。

結果的に、残った筋過緊張は、
日常動作の滑らかさを奪う要因となります。

動きの滑らかさの低下は、
関節や筋肉への負担の増大を招きます。

これらの要因で増えた
関節や筋肉への力学的負担は、
痛みという感覚に変えられます。

残念ながら、運動中に痛みが無ければ、
このような状況に気づける人はいません。

ですから、
良かれと思って取り組むトレーニングや
健康体操が痛みを強くしたり、
継続させる原因になっていることも
一般的によくあることです。

つまり、
無意識領域の脳が、
患部に加わる力に対して
危険だと判断し易くなっている状況が
正常な状態に戻らない限り、
普段は問題の無い範囲の運動量であっても、
また、
運動中には痛みを感じない運動量でも、
後から力感覚の痛みへの変化
が脳内で起こる可能性があります。

そうなれば、
運動という行為そのものが、
痛みが長く続く原因となってしてしまいます。

ストレッチや健康体操の類も同様です。

もっと遠慮無く言えば、
多くの医療行為でも
同じ現象がよく見られます。

『揉んで貰って
本当に痛みは和らいでいっていますか?』

『痛み止めの注射や薬、
効果が切れたら再発していませんか?』

『ハリやお灸、本当に運動機能
(脳内の複雑な運動管理プログラム)を
改善させられると思いますか?』

『整体、カイロプラクティック、
返って痛みが強くなっていませんか?』

では、いったい、どうすれば良いのか?

運動器官関連の痛みへの対策

まずは、
日常的動作以外の
特別な運動や動作は控えましょう。

そして、
痛みのある動作を
日常動作の中から見つけましょう。

痛みのある動作は、
無意識領域の脳が危険だと感じる
力学的条件が混ざっている動作です。

その動作の中から
患部の運動特性に合わない動きを見つけ、
正しく変えて行きましょう。

御本人で見つけられなければ、
私に御相談くださっても結構です。
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ラインでも無料相談も御利用ください。
ラインID→shimotsuma620

痛みは、脳の動きへの好みに合わせて
正しく対応出来れば(判断を変えさせれば)
直ぐに書き変わることも多い感覚です。

組織的なダメージ
(傷や変形)が大きく無ければ
無意識領域の脳が危険だと判断した
動作の内容が改善されることで、
力感覚が痛みという感覚へと
変異させられることも無くなります。

更に、
脳に受け入れられやすい運動のみを
繰り返しましょう。

受け入れられやすい運動とは、
人の動きの基本であり、
人が最も慣れている動きです。

具体的には歩くという行為です。

ただし、
人体構造上、理想的と言える歩き方
をすることが重要です。

その歩き方は⇒コチラを御参考ください。

もう一度言いますが、
トレーニングや健康体操は、
運動器官に関連する痛みへの対策としては
的外れです。

また、多くの医療行為でさえも、
痛みを慢性化させる危険性を持っています。

運動器官関連の痛みへの対策に必要なのは、
身体に加わる力に対する
無意識領域の脳の判断を変えることです。

その最も大切な要点は、
無意識領域の脳が
受け入れやすい動きをすること
です。

つまり、正しく、無理なく歩くことなのです。

お金をかけてトレーニングをするより、
体操教室に通うより、
正しく無理なく歩くことなのです。

私事になりますが、
それを最も効率的に行っているのが
ASC他動的運動療法という
私オリジナルの手技療法です。
(実際に高い効果があります)

その私の臨床経験も踏まえて言います。

痛みの原因動作を見つけることができ、
その動作修正ができれば、
多くの例で痛みは緩和されます。

その理由は、
身体に加わる力学が変わるからです。

正しく伝わった運動力学的条件を
脳が受け入れるからです。

運動力学的条件を脳が受け入れれば、
痛みも筋過緊張も無くなります。

運動機能に関わる痛みへの真の対策は、
筋肉の働き内容の適正化
(脳の判断基準を変えること)と
動作の効率化による
身体に加わる力学の適正化です。