腕が痛くて上がらない理由や肩の疼きの原因分析

肩関節の特長と肩の痛みの特性

肩の関節は体と腕を中継する場所です。

 

腕の動きはどの様な動きであっても、

肩関節に、動く方向の力だけで無く、

常に肩の関節を作っている肩甲骨関節窩

と上腕骨頭との関節面を

引き離そうとする様な力が加わっています。

 

神経痛を除く、肩関節周辺に出る痛みの殆どが、

この関節構成を引き離そうとする力に関連して出ています。

脱臼や腱板損傷に代表される肩関節の怪我について

肩関節に加わる力が関節構成を損なわせた状況を
(上腕骨頭が関節窩との本来の位置関係から外れて戻らない状況)

一般的に脱臼と言います。

 

脱臼をすると、肩関節周辺の筋肉の作用で、

腕が一定の角度をとったまま固まった状態になります。
(弾発固定)

 

上腕骨の骨折では、このような固定状態の特徴を示しません。

 

脱臼には至らずとも、

関節面が離れる方向の力が強く瞬間的に加わると、

その力に反応して

肩関節を守ろうとする組織が傷付く事があり、

その代表例が腱板損傷です。

 

肩の腱板は、

肩甲骨に着いている複数の筋肉の端が

合わさって出来た腱の集合体であり、

肩関節の構造的安定性の維持に重要な役割を果たしています。

 

肩関節に加わる

離開方向の力や

ズレる方向の力が

腱板損傷を起こさない程度であっても、

何度も通常より強い力で繰り返されると

周辺組織の微細な損傷を繰り返し、

炎症を招いて肩関節周囲炎となります。

怪我以外の肩関節の炎症の病態や治療方法と怪我による炎症との区別の基準

肩関節周囲炎の中でも、

肩関節の内部空間にカルシュウムが溜まっているものを

結晶誘発性肩関節周囲炎と言います。

 

この場合、肩関節全体に

ウズキ、及び、強い痛みと動きの制限が起こります。

 

お医者さんでの痛み止めの注射が

最も有効であることが多い傷病です。

 

また、原因は今も不明ですが、40~50代に好発する、

いわゆる四十肩、五十肩と呼ばれる傷病があります。
(癒着性肩関節周囲炎)

 

この症状は、一定期間に起きる緩な進行性の傾向を示します。

 

最悪期は、

結晶誘発性肩関節周囲炎と同類の症状を示す事もあり、

一般的にはこちらの方が長期的経過を辿ります。

 

腱板損傷、

結晶誘発性肩関節周囲炎、

癒着性肩関節周囲炎ともに、

肩関節の広い範囲で痛みを感じ、

それぞれ、最悪期にはウズキもあります。

 

しかし、それぞれの痛みには特徴があり、

その特徴からの傷病予想が出来ます。

 

その特徴の一つは、腕を挙げる時の痛みの出方です。

 

腱板損傷は、

ある特定の角度で急に痛みが強くなります。
(完全に腱が切れていれば自力のみでは挙がりません)

 

結晶誘発性肩関節周囲炎は、

腕の全ての動きに痛みと制限があり、

多くの場合、その痛みは非常に強く、

ウズキも伴うことが多いです。

 

癒着性肩関節周囲炎は、

動きの幅が大きくなることに比例して痛みも大きくなります。

 

因みに、神経痛の特徴としては、

肩関節の動きよりも首の動きに反応して症状が変化します。

 

もう一つの痛みの特徴としては、痛みの時系列です。

 

腱板損傷は、

思い当たる何らかの動作を切っ掛けに

痛みが突然出ることが通例です。
(ボールを投げると痛みが出た等)

 

結晶誘発性肩関節周囲炎の場合、

腕を酷使したことで

その直後や翌日から急激な強い痛みと動きの制限が

同期して現れることが多いです。

 

癒着性肩関節周囲炎の場合は、

最初は動きに伴う違和感から始まり、

2~3ヵ月かけて徐々に痛みと動き幅の狭まりが起きて来ます。

肩鎖関節脱臼と鎖骨骨折の原因や症状、痛みによる区別の基準

肩関節周辺の怪我としては、

転倒して側方(外側)から肩を打つと

肩甲骨と鎖骨の関節である

肩鎖関節(ケンサカンセツ)の脱臼を起こすことがよくあります。

 

肩鎖関節脱臼は、鎖骨の肩関節に近い場所に

はっきりとした押さえて痛む場合があり、

そこに段差が出来ているのを触れる事ができます。

 

同じような原因で鎖骨を折ることもあり、

こちらは胸を張る様な動作で鎖骨に痛みを感じます。

 

傾向として、子供は鎖骨骨折、大人は肩鎖関節脱臼が多いです。

お父さんやお母さんによる幼児の鎖骨骨折の見極め方

幼児の鎖骨骨折の場合、鎖骨が痛いと表現出来ず、

腕を挙げないので腕か肩関節に問題が有ると勘違いされることも少なく有りません。

 

幼児が腕を挙げずに痛む場所を明確に表現しないような時は、

お母さん、または、お父さんが、痛みの場所を

・鎖骨

・肩関節

・上腕骨

・肘

の順番で触って確認してあげてください。

その他の注意すべきこと

また、ごく稀に心臓疾患の反射痛を

肩関節に訴える方もおられるようですので、

肩関節の痛み以外の症状がある場合、

そのことも医療機関にお伝えください。

 

治らない肩の痛みも下間整骨院へ御相談ください。