運動状態の筋力量から脳の運動への評価を予想する
運動状態の筋力量から脳の運動への評価を予想する
脳の無意識下の運動調整
脳は、運動を管理・調整しています。
その管理・調整に対して
意識は、ほぼ関わっていません。
特に慣れた運動で、その傾向は強く観られます。
そのような無意識下での調整による動作の方が、
必要以上に意識が関わった動きよりも
はるかに質の高い動作となります。
無意識下の動作形成と力学的条件
人の無意識下での運動調整は、
身体から伝わる力学的条件
(体重・力の方向・動いている幅など)を
分析しつつ行われています。
身体から伝わる力学的条件に対応する形で
人の意思に合わせた動作は形作られます。
脳は、自ら芽生えた意思を達成するための
運動計画(動き方)を無意識下で作っています。
その運動計画を筋肉に伝えることで
人の動作は成り立っています。
運動調整機能と痛みとの関係
無意識下での運動調整を行っている時に
身体から伝わる力学的条件の中に
“身体を壊している”、
もしくは、
“身体を壊しかねない”、
といったような条件を感じ取らると
脳は、筋肉への指令内容(筋力量)を
無意識の内に変更していきます。
その変更内容の多くは、
動くことに制限をかける側にある筋肉
への過緊張(動きへのブレーキ)指令です。
このことにより、運動の質が劣化します。
気付かない動作の劣化と代償運動
身体の一部で運動動作の劣化が起こっても、
他の場所の動きによる動き幅の補いで、
通常、運動目的は達成されています。
例えば、
何らかの理由で運動機能の抑制が
膝に多少起きていても、
歩く(前進)という目的は、
股関節の動きを少し変えれば達成出来ます。
(代償運動・トリックモーション)
そして、
このような調整は、殆どの場合、
意識することなく行われています。
人は、何らかの運動機能の劣化があっても、
痛みという感覚が無ければ、
人(の意識)はその原因にも、
運動機能の劣化にも気づきません。
筋肉の働きへの調整
筋肉の働き内容(筋力量)を変える
無意識の調整作業は、常に行われています。
そして、
その調整は、
その時々の運動の良し悪しの影響を
強く反映させています。
実は、ここからが本題です。
(長い前置きで申し訳ありません)
ASC他動的運動療法の特徴と
その他の痛みの治療との相違点
私の用いているASC他動的運動療法は、
運動反射を利用して筋肉の活動内容の改善を目指す
手技療法です。
人が日常的に多用する目的動作
(歩く、支える、屈む、等)に
そっくりな形の運動環境を作り出す
特殊な運動療法となっています。
ですから、
私が手技で作り出す運動状態は、
(私が改善目的動作として選んだ)
『通常の人の動きと同様の運動状態である』
という評価や判断が
無意識領域の脳によって下されます。
実際の運動ではありませんが、
按摩やマッサージ、指圧、
カイロプラクティック、
整体、電気治療の類に至るまで、
医療類似行為として行われている
身体に加えられる刺激の多くは、
運動の管理と調整を行っている脳にとって、
身体に加わる力学的条件(運動環境)の類
として扱われています。
例え、リラックスして寝ている場合でも、
脳の中の運動管理に関わる領域にとっては、
寝ている姿勢という筋肉の働き内容を
管理し、調整しています。
また、何事かあれば、
対応できる状況も維持しています。
それには、
身体に加わるあらゆる力学的条件を
常に監視している必要があります。
自分の身の回りに何事か起きた場合、
その対応は、通常、身体の動きとして現されます。
人の動きは、筋肉の働きによって
作り出されています。
したがって、
何事かあれば対応できるという状況に対して、
身体に何らかの刺激が入るということ自体が
運動という行為を導く要因となるのです。
つまり、
身体に加わる刺激や環境変化は、
運動機能に影響を与える要素となるのです。
脳の無意識下で運動調整を行う領域や脊髄は、
そういう特長を間違い無く持っています。
ですから、
簡単にいうと、
全ての種類の手技や電気などによる施術も
運動を管理している領域にとっては、
その状況下での
運動状態を現す、または、創るための情報の一種
なのです。
筋肉の緊張(筋力量)
筋肉の緊張度合いには、
無意識の運動調整が働いている
という説明は先にお話しました。
筋肉がその筋力量を
必要以上に高めている状態を
筋過緊張(キンカキンチョウ)といいます。
(単純に筋緊張と言う場合もあります)
筋過緊張は、
その状況を無意識領域の脳が
好ましく感じていないことを現す現象です。
脳の無意識下での危機管理
脳の中の無意識領域の多くは、
身体を守ることが最大の役割です。
身体を守る上で不都合な条件を感じ取ると
その時の環境から逃れようとしたり、
環境そのものを脳は変えようとします。
運動環境の中に、
身体にとって不利な状況を感じ取れば、
脳は、『運動行為を抑制する』
という選択肢を選ぶことが多々あります。
その具体的な方法が、
動きの邪魔をする方向に働いている筋肉の
筋力量を必要以上に強くするという調整です。
脳の環境評価と筋力量(筋緊張の度合い)
話を少し戻して、
脳の中の運動管理を担う領域にとって、
痛み対策としての施術は、
運動環境の一種、
または、
運動環境を導くものとして扱われます。
運動環境として扱われる施術行為の中での
筋肉の緊張度合いの変化は、
施術という運動条件を
脳が受け入れているかどうかの現れです。
今後の運動機能に関わる医療は、
この点に注目すべきだと私には思えます。
その理由については、
次回ブログにてお伝えします。
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