股関節の臼蓋が浅いと変形性股関節症になりやすい理由

股関節の臼蓋が浅いと変形性股関節症になりやすい理由

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股関節は、骨盤と脚の大腿骨との連結部です。

大腿骨骨頭と呼ばれる太ももの骨の先端は、球体状の形をしていて、骨盤側の臼蓋(キュウガイ)と呼ばれる受け皿のような形状にはまり込んでいます。

この受け皿状の構造(臼蓋)が浅い人がおられます。

ほぼ生れつき起こる形態変化であり、初産の女の子に多いと言われています。

ただし、先天性股関節脱臼と違い、生まれた時に発見されることは、まずありませんし、幼少期に発見されることも稀です。

東洋人に多い形態変化でもあり、胎児の母胎内での成長期間においての骨盤内側のスペースや子宮の膨張率との関連が一部で示唆されています。

現在、一部の医師から以外は、あまり発表されていませんが、股関節の受け皿が浅い、臼蓋形成不全の状況にあると変形性股関節症になりやすく、極論になれば”変形性股関節症になる原因が臼蓋形成不全にある”との意見も聞かれます。

このことについては、私も大いに賛同しています。

その理由は、私の臨床経験と基礎医学の知識で導いた関節軟骨が通常以上に擦り減る条件を臼蓋形成不全という状況は誘発しやすいからです。

関節軟骨が擦り減ることが関節変形の初期病変であり、それを誘発するのが運動中の必要以上に強くなった筋力です。

臼蓋形成不全が必要以上に強い筋力を誘発する理由、それは不安定性の大きさです。

もともと股関節は、多方向に動く関節であり、歩行時のような片足立ちの際は、大腿骨に対する骨盤の傾きという力学的条件を大きく受け止める関節です。

この骨盤から上の上半身の傾きは、股関節周囲の筋肉によって訂正され、その結果、起立動作姿勢が維持されています。

この筋肉による姿勢維持・調整は、脊髄や脳にある神経によって瞬時に作られる計画書に沿って、その瞬間、その状況に呼応させて実行されています。

脳は、起立動作の時に関節や筋肉に加わる力を受け止めて分析することで、ごくわずかな力学的条件にも呼応する運動企画書を作ります。

その作業量は、歩くという動作だけでも、その瞬間瞬間で常に膨大です。

臼蓋形成不全があれば、歩くなどの起立姿勢動作の時に、正常な形態の臼蓋に比べて、骨の構造によって防ぐことができる関節が外れそうな方向の力の量や範囲が少なくなります。

だからといって、実際には、関節が外れて脱臼を起こすようなことは、日常的な動きの中ではありえません。

ですが、運動の管理をしている(身体に加わる力学的条件への対応を担当する)脳は、股関節の状況を力学的条件から想像するだけです。

つまり、股関節が脱臼するかどうかを正確に判断しているわけではありません。

ですから、外れそうな力にはとても過剰な反応を示し、強い筋力によってその外れそうな力に対抗して関節の脱臼の可能性を打ち消します。

つまり、運動管理を担う脳は、無意識の内に大袈裟な防衛策を取るのです。

この状況は、高所に立たされた時の脚のすくみに似ていると御理解ください。

高所であっても、橋の上であれば、落下の危険性は、通常に歩く限り無いと言えます。

ところが、高所にかけられた橋の橋板が透明のガラスであったなら、高所であればあるほど、落ちないことは解っていても多少なりとも脚のすくみを感じる人は多くおられるはずです。

臼蓋形成不全によって伝わる股関節運動時のわずかな不安定性のみで、脳は過敏に危険性を感じ、過剰な筋力を作り出します。

この不必要に強い筋力が発揮される範囲は、年齢と共に増える傾向にあります。

増えた不必要に強い筋力は、関節運動の際に関節面を押さえつける力となります。

関節面という2つの骨同士が擦れ合う場所において、二つの骨が接合し合う方向の圧力が増えれば、関節運動中の関節面での摩擦抵抗は増え、関節面にある関節軟骨は通常以上に擦り減って行きます。

この状況が股関節で続けば変形性股関節症になります。

何故、年を取ると関節運動時の不必要に強い筋力が発揮される量や範囲が増えるのかについては、

次回のブログにてお伝えします。

 

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