疲労骨折を起こす可能性があるシンスプリントについて
今回は、膝下の前面内側の骨に痛みが出るシンスプリントについて説明させて頂きます。
下腿の脛骨の特長
脛骨(ケイコツ)という膝下~足首までの間にある骨は、
その脚に体重が大きく掛かっている時に
水平方向(地面と平行方向)の捻れが頻繁に加わると疲労骨折の危機に晒されます。
同じ脚の中の縦に長い骨でも、太ももの骨(大腿骨)においては、
水平方向の捻れが加わった場合、
股関節の動きが水平方向の力を受け流す方向の動きを持っています。
そのため、大腿骨に捻れの要素は殆ど残らず、
余程大きく瞬間的な力でない限り骨折の要因にはなりません。
ところが、シンスプリントを起こす下腿部(脛骨)では、
膝関節、足首の関節ともに、水平方向への動きが少ない構造をしています。
この構造特性にシンスプリントは大きく関係しています。
シンスプリントを起こす理由とその病理
下腿(膝から下の足首までの間)に水平方向の回転が加わるような身体動作においては、
足先の方向が適切でないと、下腿の骨に捻れる力が集積します。
その力学的条件が繰り返されることで、
実際の捻れ力と筋肉の過緊張による力の影響で骨に微細な傷を作っていきます。
骨の表面で微細な損傷が繰り返され、
骨膜周辺で炎症を起こしている状況をシンスプリントと言います。
症状の慢性化が進むと疲労骨折を起こすこともあります。
シンスプリントを起こしやすいスポーツや動き
御参考までにシンスプリントを起こしやすいスポーツや動きについても記しておきます。
まず、一番多いのが走ること、特にトラック競技です。
次に多いのは、バスケトボールやバレーボールでしょうか。
それ以外では、トレーニングでの切り返し動作を繰り返すような動きにも診られます。
トラック競技やバスケットボール、バレーボールでシンスプリントを起こす時の共通点としては、
身体全体の向きを変えていくような動作の時の水平方向の捻れを上手く扱いきれていないことです。
特に、水平方向に向きを変える時に身体が向かう側の足の使い方に問題があることが非常に多いです。
具体的にいうと、陸上のトラック競技では、
左足の使い方が身体が向かいたい方向に向いていないことが原因となっています。
バレーボールでシンスプリントを起こす場合、
アタックの時のアタックを打つ方の手と反対側の足の使い方に問題があって起こすことが多いです。
アタック動作では、助走からジャンプする瞬間に身体の向きを変えながら行うような動きをする場合、
先に踏み込んだ足の方向に身体を向かわせる動きの時に、
その先行して踏み込んだ足側にシンスプリントを起こします。
バスケットボールの場合、切り返し動作不備が最も多い原因であり、
次は、ランニングシュートを打つ時の踏切動作です。
いずれの動作も身体全体の水平回転方向の動きと
足先の向きの不一致がシンスプリントを招いています。
トラック競技、バレーボール共に、先行して前に出した足を軸にして
身体全体を軸足を超える方向に向かわせるような動きで
軸足側にシンスプリントを起こすことが非常に多いです。
これは、軸足となる足の付き方が、身体全体が向かう方向ではなく、
身体全体の向きを変える前の運動方向に沿った向きのままにしていることが原因です。
足は、地面に着けると体重による摩擦抵抗の為、
その足先の向きを地面との間で変えるのが難しくなります。
足裏の体重を支える場所が、狭い場所に集中していれば、
軸足裏と地面との間での水平方向の転換はいくぶん可能です。
しかし、足裏の広い範囲に体重がかかっているときには、
軸足裏と地面との間での水平転換は困難となります。
軸足裏と地面との間の水平方向転換が出来ないような動作条件において
身体を軸足を超える様な方向(軸足側への水平回転方向)に向かわせれば、
膝の角度次第で下腿部や膝関節に水平方向に捻れる力が集中します。
御自分の動き方の中にこの様な動きの不適正さが無いか観察してみてください。
そうなっていれば、下腿部であれば、シンスプリント、
膝であれば、ガ足炎になる可能性が非常に大きくなります。
根本的な解決には動作の修正が必要です。
水平回転方向の力を動きの中に上手く取り入れる方法は⇒コチラ
下間整骨院での治療方法とは、コチラをご覧ください。